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  • January 08, 2018
  • diary

二十歳の君へ

二十歳の君へ、今伝えたいことがある。
少し厳しいことを言うかもしれないが、
これから旅立つ君に、ぜひ聞いておいてもらいたい。

私は父親だからといって、何一つ君より偉いわけではない。
だけど、君よりも随分と多く生きてきた分だけ、多く知ったことがある。
それは本当は自分で経験すべきことなのかもしれないし、
今の君にとっては年寄りの戯言のように聞こえるかもしれない。
だけど、それでもいいと思う。
それでもあえて、君に伝えたい。

途中で飽きてしまっても、ボーッとせずに。
異次元空間との交信も今日は行わないで聞いてほしい。

「靴下は履いたほうがいい。」

そんな当たり前のこと。当たり前のことと笑わないでほしい。
なぜって、君は2018年1月1日の夜、
素足にサンダルをつっかけて、新幹線で京都から帰ってきたからだ。
「寒くないのかい?」
「寒くないのかい?オーマイベイビー!?」

こんな気持ちをどう表せばいいのだろうか?
思い起こせば、初めてこの世に誕生した君を抱き上げた瞬間から
どんなことがあっても君を守り続けようと心に誓った。
だけど今、冬の寒さは君の素足を凍えさせようとしていないか?

だけど君は寒くないと言う。
いいや、京都の冬は寒い。特に朝晩は盆地がゆえに氷点下にもなる。
ましてや君が暮らす寮は古く。隙間風どころか、隙間すら空間として存在する。
それはもはや隙間と呼べるのか?

「いや、布団にくるまっていれば寒くはない。」と君は言う。
しかし、裸足がゆえに布団から一歩も外に出られない。
靴下の洗濯にすらである。(洗濯機は隣の棟にある)
すると履く靴下がないので、いつまでたっても靴下が洗濯できずに、
結局ずっと裸足である。

だけど、ここは一念発起しないことには、いつまでたっても
堂々巡り。論争も無駄。
靴下を洗濯するところから始めてみよう。
だけど思い出した。
いつか君がまだ靴下を履いていた頃、
左右色違いの靴下を履いていた。
片方は見たことのない靴下。すなわち誰かも、片方君の靴下を履いている。
そんな「靴下交換」がどんな意味を持つのかは、
スミスやマルクスの考え方を持ち出すまでもない。

解決策は「洗濯ネット」だ。
100円ショップに売っている。小さいものでいい。
洗濯するときに、必ず左右セットでその洗濯ネットに入れるといい。
そして干すときにも、左右セットで干すのだ。
それだけでOK。それだけでOKなんだよ。

OH! MY BABY。
私が、二十歳位なった君に伝えたいことはそんなこと。
たったそれだけ。
たったそれだけのことで君の世界は一変する。
寒くたって、雨が降ったって、雪が降ったっていい。
靴下をはけば、靴を履いて授業に行くことができる。
単位をもらって、さっさと広い世界へと飛び立とう。
なぜならば君はもう二十歳。どこにだって飛んでいける。
「二十歳の飛翔(たびだち)」

広い大空から見下ろせば。
今君が靴下を履かないことは、なんて取るに足らない小さなことか。
それでも裸足を貫く意味などない。

「靴下は暖かい」

いつかそれに気づいて、
ゆっくり靴下をはけばいい。

2018年1月8日 父より