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  • September 22, 2016
  • diary

Waterfalls

15歳の時にアメリカに行きたかった。高校に行かずに留学したかったのだ。

小林克也に影響を受けて、ひたすらFENを聞いて英語を勉強していた。

しかし、当時まだ現実的にアメリカの高校に行くための方法を誰も知らなかった。

航空券の買い方すらわからなかった。

その頃、私のアメリカに行きたいという想いは、宇宙に行きたいという想いと同等で、

諦めて公立高校を受験して進学したが、すっかり英語に対してはやる気がなくなってしまった。

それから「音楽」「美術」「映像」など様々なことに興味は移り、

ひよんな巡り合わせからグラフィックデザイナーになった。

時代はめぐり26歳になり、二つ目の職場はコンピュータ会社。

結婚したばかりの嫁と初めてアメリカに旅行へ行った。

ロサンゼルス空港へ降り立つと、山下達郎の「For You」のジャケットのように、

日差しが原色の折り紙のようにキラキラ輝いていた。

 

 

そこから飛び込みでレンタカーを借りて、

(ロス暴動の・・・)サウスセントラル地区に迷い込み、

やっとのことでハイウェイに乗って30分も走ると、

サンタモニカの古いダウンタウンのモーテルを見つけて飛び込んだ。

モーテルのオーナーは白い大きな犬を飼っていた。古いプールには太った白人男性が横たわっていた。

ホックニーの絵画のように。ブライアン・ウィルソンの「SMILE」のように。

ああ、これが私の憧れたアメリカ。カリフォルニアの倦怠。

そこから10日間かけて、アメリカ西部をドライブした。

その頃ちょうどヒットしていたT.L.Cの「Waterfalls」。

訪れたユニバーサルスタジオにはこの曲のPVのセットがそのまま残っていた。

この曲の歌詞はなかなか社会派で、ティーンエイジャーが簡単に

DragやAIDSで命を落とす状況に警笛を鳴らす内容となっている。

 

2002年にメンバーのLeft Eyeが交通事故で亡くなった。

Left Eyeという名前の由来は彼氏に可愛いといわれた左目を細める癖から。

Left Eyeはかつて恋人の家に火をつけて刑務所に入っていたこともある。

この曲を聴くと、彼女の人生そのもののような気がして切ない。

 

“昨日、虹を見たわ

でも、私の人生って何度も嵐が繰り返しやってくるようなもの”

 

ラスベガスの近く、砂漠の中の小さなドライブイン。

上半身にタトゥーをびっちり入れた息子が、その店のママ(おそらくお母さん)と抱き合って泣いている。

そんな映画のワンシーンのような光景が今では懐かしい。

その時のママの気持ちが今では痛いほどよくわかる。

 

‘滝の流れを追いかけていかないで

今まで親しんだ湖や川から簡単に離れていかないで

自分のやり方でいきたいのもよく分かるし

私は何も分かってはいないのかもしれないけれど

それでも、あなたは少し急ぎすぎていると思うわ’

 

サンタモニカの寿司屋では、若い夫婦がカリフォルニアロールを作っていた。

どちらも十代の時に、家出同然でアメリカに渡り寿司屋で働き、出会い、結婚したらしい。

そしてここに苦労して自分たちの店を出したらしい。

あなた達もアメリカ移住しなさいよと勧められた。

 

15歳のあの時、アメリカに行っていたらどうだっただろうか?

母の気持ちになって考えたことなど一度もなかった。

急な滝の流れに身を任せて行ってたとしたら、どうなっていたのだろうか。

 

そして50年近く生きて、結局たいして英語はしゃべれるようにはならなかった

それだけが悔やまれる。

 

 

WATERFALLS – TLC

A lonely mother gazing out of her window
Staring at a son that she just can’t touch
If at any time he’s in a jam
She’ll be by his side
But he doesn’t realize he hurts her so much
But all the praying just ain’t helping
At all ’cause he can’t seem to keep
His self out of trouble
So he goes out and he makes his money
The best way he knows how
Another body laying cold in the gutter
Listen to me

 

孤独な母親が、部屋の窓から外を眺めてる
そこには手に負えない息子がいて
彼女はもし彼が何か問題を抱えたら
駆けつけるつもりでいるの
でも息子は、自分がどれだけ母親を傷つけているかを全くわかっていない
無事でいて欲しいと祈る気持ちだけでは、息子を立ち直らせることはできない
どんなきっかけからでも
彼はトラブルに巻き込まれてばかりいる
そんな息子が外に出て、お金を稼ぐようになる
自分なりにベストだと思う方法でね
そしてまた一つ、排水溝に冷たくなった身体が横たわるの
私の話を聞いて?

 

Don’t go chasing waterfalls
Please stick to the rivers and lakes that
You’re used to
I know that you’re gonna have it your way
Or nothing at all
But I think you’re moving too fast

 

滝の流れを追いかけていかないで

今まで親しんだ湖や川から簡単に離れていかないで

自分のやり方でいきたいのもよく分かるし

私は何も分かってはいないのかもしれないけれど

それでも、あなたは少し急ぎすぎていると思うわ

 

Little precious has a natural obsession
For temptation but he just can’t see
She gives him loving that his body can’t handle
But all he can say is baby it’s good to me
One day he goes and takes a glimpse
In the mirror
But he doesn’t recognize his own face
His health is fading and he doesn’t know why
3 letters took him to his final resting place(*Notice)
Y’all don’t hear me

 

生まれながらにセクシャルな魅力を携えた女の子
彼女の身体は男を惹き付ける
でも彼にはそれがわからない
彼女が愛し始めると、彼は自分の身体をコントロールできなくなる
でも彼が口から放つのは、君の身体は最高だよという言葉だけ
ある日彼は鏡を覗き込んでみるけれど
そこに映る変わり果てた自分の顔に気がつかない
彼の身体は弱り続けているのに、その理由がわからない
結局3文字の言葉(SEX)が、彼をずっと眠り続ける場所へと連れていってしまったの
あなたたち皆わかってないわよ

 

Don’t go chasing waterfalls
Please stick to the rivers and lakes that
You’re used to
I know that you’re gonna have it your way
Or nothing at all
But I think you’re moving too fast

 

滝の流れを追いかけていかないで

今まで親しんだ湖や川から簡単に離れていかないで

自分のやり方でいきたいのもよく分かるし

私は何も分かってはいないのかもしれないけれど

それでも、あなたは少し急ぎすぎていると思うわ

 

I seen a rainbow yesterday
But too many storms have come and gone
Leavin’ a trace of not one God-given ray
Is it because my life is ten shades of gray
I pray all ten fade away
Seldom praise Him for the sunny days
And like His promise is true
Only my faith can undo
The many chances I blew
To bring my life to anew
Clear blue and unconditional skies
Have dried the tears from my eyes
No more lonely cries
My only bleedin’ hope
Is for the folk who can’t cope
Wit such an endurin’ pain
That it keeps ‘em in the pourin’ rain
Who’s to blame
For tootin’ caine in your own vein
What a shame
You shoot and aim for someone else’s brain
You claim the insane
And name this day in time
For fallin’ prey to crime
I say the system got you victim to your own mind

 

昨日、虹を見たわ
でも、私の人生って何度も嵐が繰り返しやってくるようなもの
神様が照らすとかいう光の筋なんて、やってきやしない
これって、私の命が10個の悪いものでできてるからかな?
だったら、その10個全部が消えてなくなるようにお祈りする
平穏な暮らしになりますようにって、神様に祈るわ
そして、神様は約束を守ってくれるから
今までをチャラにできるのは私の信仰心しかないのよ
私はたくさんダメにしてきたの
自分の人生をやり直すチャンスをね
青く澄み切って、どこまでも広がる空を見上げたら
私の頬をつたった涙も乾いていったわ
もう1人で淋しく泣くことなんてしない
でも、ひどく気になることもあるの
それはきちんと受け止めることができない人達のこと
この癒えない痛みに対してね
彼らの気分はどしゃぶりの雨に晒されているようなものだから
でも誰のせいにできるっていうの?
自分の血管にコカインを注入するのは自分自身でしょ?
恥かしいことよね
誰かの頭を狙って銃を撃つなんてことは
自分が気がふれてしまってて
それは今という時代のせいだって
そんな風に罪を犯す言い訳をするけど
結局、社会に取り込まれて自分自身を犠牲者にしただけのことなのよ

 

Dreams are hopeless aspirations
In hopes of comin’ true
Believe in yourself
The rest is up to me and you

 

夢を見てるだけじゃ叶うあてのない望みなの
それを実現するんだと願って
自分自身を信じるの
そこから先は、私と貴方次第なのよ