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  • December 13, 2015
  • diary

リバー・ランズ・スルー・イット

「人の世は芸術ではなく、永遠の命を持つことはない。」

巨大な鱒を釣り上げて、満面の笑みを浮かべる若きブラッドビット。映画史に残る名シーン 。

(号泣するところをタイミング良く息子に見られてしまった。まあそれはいいとして・・・。)

この映画はお兄さんのノーマンの回想という形で語られていく、

お兄さんから見た自由奔放でフライフィッシングの才能がある弟が見せてくれた、美しく、完璧な瞬間。

しかしその合間で垣間見られる、彼の苦悩の表情。

優秀で、大学の教授の職を得た兄。そんな彼を揶揄しながらも、ともに喜び、

しかし自分自身は器用に生きられず、自分が放つ輝きにすら気づかずに、傷つき、傷つけて・・・。

そんな不器用な彼の生き様の刹那に目頭が熱くなってしまう。

 

この映画のいいところは、誰一人悪者を作らないところ。

「イケ好かない」 ガールフレンドのUCLA帰りみたいなお兄さん。

釣りに誘うと、泥酔で時間に遅れた上に、酒場でナンパした女連れ。

呆れてほっておくと、全裸で寝入って真っ赤に日焼けして大変な目に遭ってしまう。

そんな事件で、彼女との仲もギクシャクしてしまうんだけど、

結局は、最初は目も合わせてくれなかったお兄さんが、帰り際の汽車から手を振ってくれる。

ひとりひとり、いろんな個性があって、うまく噛み合わなかったりするんだけど、

お互いがお互いを受け入れて行く。

それも、このモンタナの大自然や、そこに流れる川があって、

それからしてみれば、ひとつひとつは取るに足らないこと。

 

 

地味な映画である、途中うとうとしてもいいかな?という映画である。

だけど素晴らしい映画である。

 

 

ブラッドビットの笑顔が美しい。今更ながら好きになった。

 

人々の人生は様々でいろいろな事があるが、

そんな時の流れのなかで、川は変わらぬ姿で流れ続ける

(A River Runs Through It)

 

ここで今日の一曲はなんだろう?

美空ひばりという訳には行くまい。

 

ちなみに最初の写真は寄居町を流れる荒川の上流。

とても美しい川。大好きな川。

ここは是枝裕和監督の「そして父になる」のロケ地でもある。